FXのサヤ取りとは?
FXにおける「サヤ取り」とは、2つの通貨ペアや関連する金融商品の価格差(サヤ)に注目し、その価格差が縮小または拡大する動きを利用して利益を狙う手法です。
株式や先物市場でも使われる考え方ですが、FXでは「相関性のある通貨ペア」に対してよく使われます。
サヤ取りは「裁定取引(アービトラージ)」の一種であり、相場の方向性に依存しない点が特徴です。
サヤ取りの仕組み
例えば、相関性の高い通貨ペア(例:ユーロドル(EUR/USD)とポンドドル(GBP/USD))の価格差に注目します。
普段は似たような動きをしている2つの通貨ペアですが、一時的に価格差が広がったり縮まったりします。
その差が「通常の水準に戻る」と考えたときに、割高な通貨ペアを「売り」、割安な通貨ペアを「買う」ことで、差が元に戻ったときに利益を得ることができます。
イメージ図(価格差の拡大と縮小)
以下のようなイメージを持つとわかりやすいでしょう。
通貨ペアA(EUR/USD) ────╮ ╭──── \ / 通貨ペアB(GBP/USD) ──────╯ ╰───── 【サヤが広がる】 【サヤが縮まる】
このように、2本の線が離れたり近づいたりする「価格差の動き」から利益を狙うのがサヤ取りです。
サヤ取りのメリット
- 相場全体の方向性に左右されにくい:トレンドが上昇でも下降でも、価格差に注目するため影響を受けにくい。
- リスク分散ができる:片方を買い、片方を売るため、一方向に偏らないポジションになる。
- 安定性がある:大きなトレンドを追う手法よりも、コツコツと利益を積み上げやすい。
サヤ取りのデメリット
- 価格差が思ったように戻らない:相関性が崩れると、サヤが縮小せず逆に広がり続けて損失につながる。
- スワップポイントの影響:買いと売りを同時に持つため、スワップポイントの支払いで不利になる場合がある。
- 収益が小さくなる傾向:トレンドを追う手法に比べ、大きな利益は狙いにくい。
具体的な通貨ペアの例
サヤ取りでよく使われるのは、相関性が高い通貨ペアです。
- EUR/USD × GBP/USD:どちらもドルが絡んでいるため動きが似ている。
- AUD/USD × NZD/USD:オセアニア通貨同士で相関が高い。
- USD/JPY × EUR/JPY:円が絡むペア同士で、ドル円とユーロ円の動きが比較されやすい。
ただし「過去に相関が高かったから」といって、必ず今後も同じように動くわけではありません。経済状況や金利政策の違いによって相関性が崩れることもあるため注意が必要です。
まとめ
FXのサヤ取りは、「相関性のある通貨ペアの価格差」を利用する裁定取引の一種で、相場の方向性に左右されにくいというメリットがあります。
一方で、相関が崩れた場合のリスクやスワップの影響もあるため、慎重なペア選びとリスク管理が欠かせません。
大きな利益を狙うというより、安定的にコツコツと利益を積み重ねたい方に向いた手法といえるでしょう。